NPO法人日本ホームスクール支援協会理事、教育事業「みらいの学校」代表の北本の個人ブログ

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ホームスクーラーが見る教育機会確保法(2)

 

 

kitatakako.hateblo.jp

 

現場での混乱

実は最近、個人的に公立小学校から見たホームスクールの実態調査をしています。

まぁ「調査」というほど大げさなことではなく、公立小学校の先生にお話を伺っています。

 

教育法規は既に学んでいるはずの現役の先生方でも、去年施行されたばかりの教育機会確保法については、その施行までの流れや法の内容そのものについても詳細をご存知なかったりします。それらの情報を獲得する手段や学ぶ時間がとても少ないのだと思います。

法律云々よりも、いま目の前にいる生徒たちと業務が最優先の状況なのでしょう。

 

私が伺った一部地域では平成28年文科省から通知された「不登校児童生徒への支援の在り方」という文面が現場の教員まで届いていないケースもありました。
現場の先生が通知自体をご存知なかったんです。

中には詳しい方ももちろんいらっしゃいましたけど、実際に法律や文科省の通知に照らした対応を現場でしていらっしゃる方とは、私はお会いできていません。

私がお話を伺った先生方は、不登校児童に対して法がどうあれ、上からの通知がどうあれ「こういう対策をするべき」とのシステムからの一辺倒で本人と向き合うのではなく、その子と自分(教師)の1対1の信頼関係がまず第一に構築されるべきだとの考えの先生が多い印象でした。

 

まだまだ調査している数は少ないので今後、私の考えも変わる可能性がありますが、

実際に現場で話を伺って、この教育機会確保法は先生や子どもの為になっていないかもしれないと思いました。学校から見れば「便利だな」という認識はあっても実際は利用されないかもしれないと感じました。

 

そして何より、一般家庭の親にはほとんど浸透していません。

 

この法が施行された今でも、ある日、昨日まで何事もなく学校に通っていた子どもが急に不登校になったら・・もしその時「教育機会確保法!」と旗を掲げられたのなら、現場では混乱が生まれるだろうなと思ったのが、少しだけ調べていて思った私の感想です。先生も家庭も、双方で混乱が起きるだろうなと。
 

今の段階での私の考えでは(いや、まだ少数の先生のお話を直接伺っただけなので偉そうな結論付けは出来ないのですが)教育機会確保法が施行されても、そもそも現場で法律をどうのこうの解釈して「児童のためになる」何らかの行動がとられるということは考えにくいなという印象です。

 

では、この教育機会確保法は何のためにあるのか。

この法が施行されることで得するところはどこなのか。

リスクを負うのは誰なのか。

 

ホームスクーラーと確保法

さて、ホームスクーラーがこの教育機会確保法をどのように解釈すればいいのか。
とても難しいと思います。

この法は国からの学校への措置の要請や、民間企業の義務教育参入のための法だと受け止めると分かりやすいかと思いますが、ホームスクールのいち家庭がこの法を盾にホームスクールの継続を訴えることはあまり意味がないかもしれません。

 

先ほども言いましたが、この法を現場で不登校家庭に対してどうこう利用するということは少し考えにくいように私は思っています。
多くの民間企業が不登校支援に乗り出してきましたがこれも教育機会確保法の成果と言えると思います。これらが不当児童への強制介入につながる恐れもありますが、クラスジャパンプロジェクトへの一連の批判と、その後のプロジェクトの動向を目にしているとそんな安易に恐ろしいことにはならないと思えます。

 

ただし、やはりこの法を家庭として利用するならば、ホームスクーラーにとっての利点はあまりなく、家庭と学校によっては法を逆手にホームスクールへの監視や学校からの介入が増える可能性もあるなと思います。

 

そもそもホームスクーラーの中には「ホームスクールは不登校ではない」という認識をされている方もたくさんいます。
私も思想的にはホームスクールと不登校は別だと思っています。
積極的に学校以外の学び場を選択しているのであって、ホームスクール=ひきこもり や ホームスクール=不登校による自宅学習 ではないのです。


ただ、学校から見れば籍のある児童が登校していない状態は不登校と判断されるわけですから不登校児童とされます。
これは知らない方も意外と多いのですが、インターナショナルスクールでさえも学校教育法に於ける就学義務を履行したことにはならないのです。つまり学校側から見ると不登校の括りになります。
※中には一条校(学校教育法で認められた学校)として認められているインターナショナルスクールもあります。

インターナショナルスクールも然り、ホームスクールも、自ら学校外の学びを選択した家庭にとって、教育機会確保法の「不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること」(基本理念第三条二)なんて言われましても、在籍の学校側からの必要な支援は何かと問われたとしましても、「放っておいてもらうこと」が正直なところであるわけです。

 

ですがこの法は、わざわざ学校が不登校児童の状況を把握し、何らかの介入をすべきだと捉えることができるわけですね。
アンスクーリングの家庭は「これが教育?指導要領に全く沿っていない!」なんて言われてしまう可能性もあるわけですから、そうなると、積極的に学び場を選択したということよりも、我が家で言えば末娘の場面緘黙症などを盾にしなければならなくなるわけです。

 

「この子はこの特質によってこれが出来ないからホームスクールなんだ」というネガティブな学び場選択を主張しなければならなくなる。
個人的には、これは子どもの尊厳を損なう気がしてならないのです。

 

ですが、私はこの法をポジティブに解釈して学校側とホームスクーラーが手を取りあういい機会として捉えることも出来るなと思っています。

完全に教育観の違いはありますから、本音を言えば学習の介入は嫌なんですけど、学校側とホームスクーラーは子ども達を取り巻く社会の大人としての連携が出来ればいいのではないかと思います。

 

あくまで、積極的にホームスクールを選択し、学校側に対する児童の心理的な抵抗感が無ければなのですが、

児童の状況の把握は、親と先生との対話に変換する。
「監視されている」ではなくて子どもの状況を安全安心の確認を義務とする第三者との情報共有だと考える。

児童への必要な支援は、学校側からの教育の選択肢の提示などに変換して考えてみてはどうでしょうか。
「介入」ではなく、国の公的な教育現場からの情報提供や、学習の選択肢の幅を広げるための「提携」のように捉える。

ホームスクーラーのために図書室の利用や校庭や体育館の利用も可能にしてくださっている学校もたくさんあります。
また、学校から学習用品の注文も代行してくれるので、我が家も定期的にお願いしています。

 

そこに何らかの強制や圧力を生むものではなく、家庭と学校の双方の歩み寄りで、より子どもの自立した学習と自己肯定感を守ることにもなります。

 

ホームスクールをしている子どもを取り巻く大人としては、
学校側は無理な登校を促さない。
家庭は頑なに学校を拒否しない。
誰のためなのか原点に立ち返って、必要なもの、こと、ひとを最大限に提供し合うことが理想的ではないかなと思います。

 

強調しますが、強制ではなく、歩み寄りで。

以上、ホームスクールについても確保法についても、何らかの基礎知識がないとあまり話が通じないかもしれませんが・・当事者の方の参考になればいいなと思い書かせていただきました。

個人的なブログなので個人の考えです。